-->
日本の心血管機器市場は、2024年から2033年までに78億米ドルから148億米ドルに達すると予測されており、2025年から2033年の予測期間にかけて年平均成長率(CAGR)が 7.4%で成長すると見込まれています。
心血管機器は、心臓や血管に影響を及ぼす疾患の診断、治療、管理を目的として設計された専門的な医療機器です。これらの機器には、ペースメーカー、ステント、心臓弁、除細動器などのさまざまなツールに加え、心電図(ECG)や超音波装置といった診断機器も含まれます。心血管機器は、冠動脈疾患、心不全、不整脈、高血圧などの状態に対応するうえで重要な役割を果たし、効果的な患者ケアを実現し、健康転帰の改善に貢献します。
心血管疾患の増大する負担
日本の心血管機器市場は、深刻な公衆衛生問題となっている心血管疾患の増大する負担によって大きく後押しされています。日本の国立循環器病研究センターによると、2021年12月時点で推定される心不全患者数は約120万人にのぼります。
この驚くべき数字は、心血管疾患が日本の人口に与える多大な影響を浮き彫りにしています。さらに、心血管疾患の有病率は年齢とともに上昇する傾向があり、今後、人口の高齢化に伴って心不全の影響を受ける人の数も増加すると考えられます。この傾向は、平均寿命が特に高く、多くの人が100歳に達する日本において、極めて重要な意味を持ちます。
その結果、心不全患者の増加に伴い、心血管機器の導入率が高まることが予想されており、市場の成長を後押ししています。心不全の発症率が上昇していることに加え、日本は世界で最も高齢化が進んでいる国でもあり、心血管の健康に関する課題をさらに深刻化させています。ワールドデータ2022のデータによると、2021年には日本の人口の約29%が65歳以上を占めていました。
高齢者層は、生理機能の自然な低下や長年にわたる健康リスクの蓄積など、さまざまな要因により慢性的な心血管疾患にかかりやすくなっています。高齢人口が増加する中で、効果的な心血管機器に対する需要も同時に高まると予想されます。このような人口動態の変化は、高齢者の心血管の健康を管理するための先進的な診断・治療ソリューションの必要性を強調しており、それが日本における心血管機器市場の成長を後押ししています。
先進的な機器のコスト上昇
先進的な医療機器に関連するコストは多面的であり、初期購入費用だけでなく、継続的な保守費用やダウンタイムの可能性も含まれます。これらのコストは機器の種類や業界によって大きく異なり、売上原価の15%から70%を占める場合があると推定されています。
このような幅広いコストレンジは、先進医療技術の導入における予算策定の複雑さを浮き彫りにしており、特に中小規模の医療機関にとっては大きな財政的障壁となり得ます。その結果、洗練された機器の導入および維持にかかる高額な費用は、市場全体の成長を妨げる要因となる可能性があり、施設側が継続的な運用が困難な新技術への投資に消極的になることも考えられます。
日本の心血管機器業界において、機器価格の上昇は喫緊の課題となっており、事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。経済産業省のデータによると、最新の心血管医療技術に関連する製造および調達コストは、2021年から2023年の間に8.2%上昇しています。
このコスト上昇は、特に予算に制約のある中小規模の医療機関にとって大きな課題となります。機器価格の上昇による財政的負担は、こうした医療機関が最先端技術を導入する意欲をそぎ、その結果、命を救う可能性のある心血管機器の普及を妨げる要因となっています。したがって、先進的な心血管機器に伴うコストの上昇は、医療機関の購買判断に影響を及ぼすだけでなく、患者ケア全体にも広範な影響を及ぼす可能性があります。
技術の進歩
高度な技術を備えた心血管機器に対する需要は、市場において有望な成長機会を生み出すと見込まれています。心疾患が進行するにつれて、患者はより高度な診断および治療機器を必要とするようになり、その重要性が一層増しています。これらの患者には、正確な測定を行うだけでなく、個々の病状に応じた効果的な治療計画を支援する機器が求められます。こうした機器への技術統合は、患者ケアおよび治療成果の向上において重要な役割を果たしています。
近年、技術の進歩が急速に進んでいることにより、遠隔心臓モニタリング機能などの高度な機能を備えた心血管機器への需要が大きく高まっています。これらの機能により、医療提供者は患者の心臓の状態をリアルタイムで把握でき、適切なタイミングで治療方針の見直しや介入が可能になります。これにより診断の精度が向上するだけでなく、患者にとっても利便性の高い快適な医療体験が提供されます。自宅や外出先でも心臓の健康状態をモニタリングできることは、患者に安心感と主体的な健康管理の意識をもたらし、より積極的な関与を促進します。
このような需要の高まりに対応するため、心血管機器市場の主要企業は、革新的かつ技術的に進化した製品の投入に一層注力しています。各社は、患者や医療提供者の多様化・高度化するニーズに応える機器を開発するため、研究開発への投資を強化しています。こうした戦略は、市場シェアを獲得するうえで重要であるだけでなく、患者に最善の医療を提供するためにも不可欠な取り組みとなっています。
機器タイプ別
診断およびモニタリング機器セグメントは、予測期間中に最も高い年平均成長率(CAGR)を記録すると予測されています。この成長は、特に慢性疾患において、健康状態の早期発見および継続的なモニタリングの重要性が高まっていることに起因しています。このセグメントに含まれるさまざまな機器の中でも、心電図(ECG)が大きな市場シェアを獲得すると見込まれています。
ECG機器の人気が高まっている主な要因の一つとして、近年の軽量、小型・低価格化への取り組みが挙げられます。こうした革新により、ECGはより手軽に利用できるようになり、特に自宅でのヘルスケアを重視する患者にとって、自宅で快適に健康状態をモニタリングできる利便性が評価されています。さらに、心血管疾患の発症率が上昇していることも、信頼性の高いECGモニタリングシステムの需要を一層高めており、こうした疾患の早期発見と適切な管理が、患者の治療成果を向上させるうえで極めて重要となっています。
さらに、ワイヤレスECG技術の進歩は、リアルタイムでのデータ送信を可能にすることで患者モニタリングに革新をもたらしています。この機能により、医療提供者は遠隔から患者の状態を把握できるようになり、必要に応じて迅速な診断や介入が可能となります。その結果、健康意識の高まり、技術の進展、そして患者中心の医療への関心の強まりが相まって、ECG市場の成長を促進しており、それに伴い診断およびモニタリング機器セグメントの拡大も進んでいます。
主要企業のリスト:
セグメンテーションの概要
機器タイプ別
用途別
著作権 ©2022 無断複写・転載を禁じます